アートグリーン(3419)の初値予想
12月18日、名証セントレックスに新規上場予定のアートグリーン(3419)の初値予想です。
仮条件:380~420円
公開価格:420円
初値予想:600円
1年ぶりのセントレックス上場です。
関連記事:アートグリーン(3419)の初値は公募価格の1.5倍
関連記事:アートグリーン(3419)のIPO抽選結果
初値予想の根拠
アートグリーンの初値予想を600円とした根拠は以下の9点です。
1)吸収金額は1億円を切る超小型IPO
2)セントレックス上場は地味
3)行使期限を迎えているストックオプション有り
4)ロックアップはしっかり
5)ビジネスモデルも面白く業績好調
6)会社予想PERは8倍
7)全数公募で役員報酬も低く今後の成長にコミット
8)上場目的は信用力?
9)3社同日上場
1)吸収金額は1億円を切る超小型IPO
仮条件の条件420円で計算すると、吸収金額は9,660万円です。(オーバーアロットメント分を含む)
1億円切りの超小型IPOです。
同条件で計算した時価総額は3.7億円です。
#セントレックスは「上場時の時価総額が3億円以上」というのが要件ですので、ギリギリと言えます。
2)セントレックス上場は地味
名証セントレックス上場で、極めて地味です。
名証セントレックス上場の最近の上場は以下の通りです。
上場日 | 銘柄 | 公募価格 | 初値 | 現在の株価 |
2014/11/26 | 日本PCサービス | 480円 | 805円 | 530円 |
2008/3/27 | エスポア # | 650円 | 540円 | 435円 |
#現在の株価は、2015年12月2日の終値
#エスポアは、IPO時ゲオエステートという社名でした
直近のセントレックスIPO実績は、昨年の日本PCサービスの前が2008年のエスポア(当時はゲオエステート)となっており、ここ7年で2件目です。
ここまでくると、セントレックスの存在を忘れている(または、知らない)投資家もいるのではないでしょうか?
3)行使期限を迎えているストックオプション有り
・公募:200,000株
・オーバーアロットメント:30,000株
ですが、行使期限を迎えているストックオプションが60,000株存在します。
行使価格は148円です。
4)ロックアップはしっかり
既存株主の中では、
・75.21%を保有する創業者で代表取締役社長の田中豊氏
・9.66%を保有する専務取締役の根本和典氏
・2.94%を保有する取締役の芝田新一郎氏
・1.28%を保有する取締役の伊藤正之氏
の4名(合計89.09%)に90日のロックアップがかかっています。
また、株価解除条項はありません。ロックアップはしっかりかかっています。
なお、5.01%を保有する株式会社i879は「花キューピット」を運営する会社で、ロックアップの対象外です。(48,000株保有)
オーバーアロットメントを含めてIPOで配分するのは230,000株ですので、48,000株を保有する株式会社i879の動向には注視が必要です。
5)ビジネスモデルも面白く業績好調
業績は好調です。
▼売上高
▼経常利益
2015年10月期(通期)の会社業績予想では、
・売上:1,812百万円(対前期+7.4%)
・営業利益:86.6百万円(対前期+46.3%)
・経常利益:78.1百万円(対前期+33.4%)
です。
また、ビジネスモデルもユニークです。目論見書に記載されている内容を要約すると、以下の通りです。
・上場企業、大手企業の関連会社内に生花を取り扱う事業部門を立ち上げてもらう
・グループ内の慶弔関係の生花注文をとりまとめる受注体制を構築してもらう
・企業側は受注のみに特化し、仕入から配送までをアートグリーンへ委託する
・従来社外に流出していた慶弔関連需要をグループ内に取り込み関連会社が売上を計上
・さらに企業グループ全体では発注価格の引き下げ等による経費節減効果
なお、今後、慶事に胡蝶蘭を贈る習慣が廃れてくる懸念もありますが、胡蝶蘭による慶事需要だけでなく、フューネラル事業では葬祭に必要な菊の販売も行っており、リスク分散も図られています。
#ただしフューネラル事業の売上は、まだ全体の10%程度です
6)会社予想PERは8倍
仮条件の上限420円をベースに計算した会社予想PERは8倍程度です。
PER12倍と評価して1.5倍になります。
7)全数公募で役員報酬も低く今後の成長にコミット
公募が200,000株で、売出は0株の全数公募です。
また役員報酬は、取締役4人で合計3,438万円です。一人平均860万円です。経常利益が5,000万円程度と考えると十分に抑えられた役員報酬水準です。
役員陣のEXITが目的ではなく、今後の事業成長を狙っていることが伺えます。
8)上場目的は信用力?
上場目的は信用力ではないか?と思っています。
理由は、調達額の使途が以下の3点なのですが、大きな投資ではないためです。
・受注処理の自動化及び顧客情報の細目管理による業務全般の効率化を目的としたシステム投資に20,000千円
・会計システム投資に10,000千円
・残りの49,640千円を自社製品(胡蝶蘭)生産育成のための運転資金及び、事業拡大よる増加運転資金
実際、流動資産4.9億円、流動負債2.4億円とBSを見る限りでは運転資金不足には見えません。
実は資金需要よりも、セントレックスとは言え「上場企業」になることで得る信用力の方が欲しかったのかもしれません。
9)3社同日上場
アークン、フリューとの3社同日上場で需給面ではマイナスです。
初値予想のまとめ
様々な要素を記載しましたが、整理すると
・超小型で需給は良好になるかも?
・セントレックスの地味なIPO
・3社同時上場
・業績は良好でPERも低く設定されている
・売出ゼロでEXIT目的ではない
といったところです。
吸収金額が1億円を下回り、会社予想PERが8倍程度と低水準なため、少し注目されれば2倍程度に上がる可能性は十分にあると考えます。
しかしながら、3社同時上場でセントレックスの地味なIPOですので、PER10倍〜12倍の間となる600円を初値予想としました。
ただし、420円が600円に上ったとしても単元株が100株ですので、1単元の利益は18,000円にしかなりません。(セカンダリーで1,000株単位で投資しないと美味しくも何ともありませんね、、、)
この銘柄は、短期勝負ではなく長期スパンで保有する銘柄かもしれません。セカンダリー投資については、500円〜550円程度なら3年は持つ覚悟で買いを検討します。
#セカンダリー投資については「IPO抽選に落選した場合の投資 – セカンダリー投資」をご覧ください。
なお、主幹事証券はエイチ・エス証券です。エイチ・エス証券からの参加であれば、口座数が少ないので当選しやすいのではないかと予想しています。
#追記:エイチ・エス証券等でアートグリーンに需要申告に参加しましたが落選しました
関連記事:
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