IPOでNISAを活用するのが節税効果抜群
NISAと言えば長期保有を前提にした投資に活用するもの、と思い込んでいませんか?
これは、NISAの制度設計上、NISA口座で購入した金融資産は「5年間」配当や売却益に対して非課税となるため、この「5年間」を最大限に活かし切ろうという発想もあり長期投資とセットにされがちです。
ただ、これは国や金融庁の政策であり、それに合わせて証券会社も提案し、メディアも報道しているだけで、本当にNISAが長期投資に向いているのかは疑問です。
NISAのメリットとデメリット
NISA(少額投資非課税制度)にはメリットとデメリットが存在します。
多くの場合、メリットばかりが提示されていてデメリットを知らない投資家もお会いします。
■NISAのメリット
まず、NISAのメリットは多くの方がご存知の通り、100万円を上限としてNISA口座で購入した金融資産(#)の譲渡益や配当が5年間は非課税となる点です。
#NISA対応の金融資産は証券会社によって異なります。代表的な金融資産は、国内現物株式、国内ETF、IPO、投資信託、海外ETFなど。
通常は譲渡益および配当に対して20.315%の税金が課税されます。(#本来の20%に復興特別所得税の0.315%が加算されています)
ですが、NISA口座で買い付けた金融資産であれば、本来発生する20.315%の課税が行われず丸々手元に入る節税効果があります。
例えば、100万円で購入した国内現物株式が5年後に120万円に値上がりして売却し、その間に配当金として年2万円を5回受けていた場合、本来であれば、
・売却益:20万円(120万円 – 100万円)
・配当金:10万円(2万円×5回)
の合計30万円に20.315%の課税が発生し、60,945円が税金となり、実際に手元に残るのは239,055円です。
この投資をNISA口座で行っていれば税金として収めなければいけなかった60,945円が非課税となり、納税の必要がなくなります。結果、30万円丸々を利益として手元に残すことが可能です。
これがNISAのメリットです。
■NISAのデメリット
余り知られていないのが、NISAのデメリットです。
それは一言で表すと「損益通算の対象外」という点です。
投資は利益が出ることもあれば、損失が出ることもあります。そのため、一年間(1月〜12月)で発生した利益と損失を合算した金額に対して20.315%の課税が行われる仕組みになっています。
仮に一年間を通して損失が大きく、損益通算した結果がマイナスとなった場合は納税が発生しません。また詳細は省きますが、この損失を翌年以降の損益通算に繰り越すことも可能です。
ですが、NISA口座はこの「損益通算」の対象外となっており、NISAで損失が発生した場合、一年間の損益通算でマイナスとして集計することも出来ず、また、翌年以降に繰り越すことも出来ません。
つまり、NISAは「利益が出て初めてメリットを享受可能で、損失が出た場合には不利益を被る」制度です。
例えば、銘柄Aを50万円、銘柄Bを50万円で投資し、銘柄Aを70万円、銘柄Bを40万円で売却した場合、
・銘柄A:20万円の利益
・銘柄B:10万円の損失
となり、トータルでは10万円の利益です。
この取引が通常の特定口座や一般口座で行われていた場合、10万円に20.315%課税されます。
しかし、仮に
・銘柄Aは特定口座/一般口座
・銘柄BはNISA口座
で取引していた場合、NISA口座で発生した損失10万円は無視され(損益通算の対象外となり)、特定口座/一般口座で取引した銘柄Aで発生した利益20万円に20.315%課税されます。
これがNISAのデメリットです。
NISAを最大限活用するには?
上述のNISAのメリットとデメリットを考慮して、NISAという節税制度を最大限活用するための条件は、
・損失が発生しないことが前提
・利益額が大きければ大きいほど良い
となります。
この条件を満たす投資を考えた場合、5年間の長期投資にこだわる必要性を感じますか?
管理人は全く感じていません。
このNISAの節税効果を最大限に引き出す条件を満たす投資はIPOだと考えています。
現在、IPOはローリスク・ハイリターン投資となっています。
「IPOはローリスク・ハイリターン投資」でも記載しましたが、
2012年〜2015年のIPO実績210件の内、
・初値が公募価格を上まったのは177件で勝率84.3%
・初値ベースの平均損益率は+90.6%
という極めて勝率が高くリターンも高い状況です。
・安定した勝率=損失を出さない
・高い利益率=節税額が大きくなる
という2つの要件を備えています。
デメリットを抑えながらメリットを最大限に享受するためにIPOでNISAを活用することをオススメします。
事実、ネオジャパンのIPOではNISAを活用していれば初値売りで20万円を超える節税効果がありました。
#参考:NISAなら20万円節約可能だったIPO(ネオジャパン)
なお、一部の証券会社・取引コースによってはNISAでIPOを購入できない(非対応)の場合がありますので、ご注意ください。
関連記事:
・IPOはローリスク・ハイリターン投資
・IPO引受証券会社
・2つのIPO配分方法 – 裁量配分と抽選配分
・IPOの需要申告と抽選申込・抽選参加の違い
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